O脚とは?原因や診断、予防法について解説
「小さい時からガニ股になりやすい」
「最近、膝が外を向いている気がする」
など、このように感じた方はいないでしょうか?
今回はO脚について解説していきます。
O脚の概要・症状
O脚
O脚(内反膝)とは、両膝が外側に彎曲した状態で、左右の“内くるぶし”をそろえても、膝の内側が接しないものがO脚です。
脚の見た目が「O」の字のようになるようなことから、O脚と言われています。
壁に寄りかかり、真っすぐに脚を揃えた姿勢で、膝の内側が接しない場合はO脚かもしれません。
症状
O脚は徐々に進行するものが多く、進行すると膝に痛みを感じたり、膝に水が溜まる「関節水腫」になったりすることもあります。
どちらも変形によって、関節へのストレスが増加することで起きるものです。
膝関節のストレスが高いまま日常生活を続けることで、変形性膝関節症に移行することもあります。
また、O脚の方は骨盤が後ろに倒れている姿勢を取りやすいため、腰痛の症状を訴える事も多いです。
O脚の原因
子供のO脚の原因
日本人の乳幼児期は、生まれつき自然とO脚になります。歩き始めの1~2歳で最もO脚変形が強くなり、成人になるにしたがって自然と変形が治ります。これを「生理的O脚」と言い、ほとんど心配ないO脚です。この生理的O脚により幼児期の約1/3で内股歩きが見られるといわれています。
しかし、これらと違い、年齢とともにO脚が進行してしまう場合は「ブローント病」の可能性も考えられます。
成人以降のO脚の原因
成人以降の場合は、姿勢や生活習慣が起因してO脚になる場合が多いです。姿勢が悪く、筋力が低下することで、猫背や骨盤が後ろに倒れる姿勢をとりやすくなり、体の重心が後方に移動します。重心が後方に移動したままでは立ちづらいので、重心を前に戻そうと膝を曲げて対処すると、O脚になりやすくなります。
足の変形をそのままにしておくと起きること
脚の変形をそのままにしておくと、姿勢や筋力のバランスが悪くなり、変形性膝関節症、鵞足炎、足底腱膜炎、外反母趾などの症状が出ることがあります。
変形性膝関節症
O脚が進行すると、変形性膝関節症になることがあります。変形性膝関節症とは膝関節の軟骨摩耗により、歩行や階段昇降で膝に痛みが出ることを言います。末期まで進行してしまい、日常生活が困難になると、人工関節(内部リンク)の手術適応になります。鵞足炎
鵞足炎(内部リンク)は、膝の筋肉が集まって付いている「鵞足」と呼ばれる場所に、痛みが出現する症状です。膝を起点に大腿骨と脛骨に捻るストレスが加わることで、筋肉が緩んで過度に力を入れすぎてしまったり、引き延ばされたりして過度な力が加わると、痛みにつながります。
足底腱膜炎
足底腱膜炎(内部リンク)は、足の裏に痛みが出る疾患です。
“土踏まず”が落ち込むように足のアーチが崩れ、扁平足になっている人に起きやすい疾患です。
扁平足になり足底腱膜の動きが悪くなると、本来の機能が発揮できず、足の裏が地面に接地する際の衝撃が吸収できなくなります。
そこに歩行やジャンプなど、繰り返しの衝撃ストレスが加わることで、足底腱膜に小さな断裂が生じて炎症が起き、痛みが生じるのです。外反母趾
外反拇趾は、足の親指が小指側に「く」の字に変形することで、親指の付け根部分に痛みが出現する症状です。親指の付け根が赤く腫れている、靴に親指の付け根がよく当たる場合は外反母趾の疑いがあります。
O脚の予防方法
O脚の予防方法として、筋力トレーニングやストレッチを行い、姿勢を改善することが効果的です。O脚予防のための運動をいくつか紹介します。※変形性膝関節症と診断されている方は、専門家に教わってから行いましょう。
筋力トレーニング
・クアドセッティング
- 仰向けで横になり、膝の下にタオルを丸めて置く。
- 膝の裏でタオルをつぶすように膝を伸ばし、5秒ほど保持する。
- 10~15回目安で3セット以上行う。
太ももの前にある大きな大腿四頭筋を狙うトレーニングです。大腿四頭筋は膝の安定に大きく関与しているため、まずはこの運動を行いましょう。
・スクワット
- 背筋を伸ばし、両足を大きく開きます。
- 椅子に腰かけるようにしゃがみます。
- 10~15回を3セット以上
脚の内側につき脚を閉じる作用を持つ内転筋を狙って行います。お尻や太ももの筋肉も一緒に鍛えられます。
・ボールつぶし
- 仰向けか、立った姿勢で、太ももの間にボールを挟みます。
- 脚を閉じるようにボールをつぶします。
- 20~30秒程度を3セット以上
内転筋のみを狙って鍛えたいときに効果的です。
・股関節外転運動
- 壁に手をつき、足を肩幅に広げて立ちます。
- 身体が傾かないように、足を横に広げます。体が「く」の字にならないようにしましょう!
- 10~15回を3セット以上行います。
お尻の横につく中殿筋を狙ったトレーニングです。歩行や姿勢保持に大きく関与しています。
姿勢をよくする
O脚の方は、猫背や骨盤が後ろに倒れていることが多いです。
特に椅子に腰かける時に猫背になることが多いため、椅子に腰かける時はお腹をへこませるように力を入れて、骨盤を起こしてまっすぐに座りましょう。
最初は意識しないと良い姿勢を保持できませんが、日ごろから良い姿勢を保つことを習慣づけることで、意識せずとも良い姿勢を保持できるようになるでしょう。
まとめ
すでに変形が起きていても症状が軽度であれば、変形の進行を予防できる可能性のあるO脚。
膝の見た目が「O」のようになっていたり痛みが生じたりしている場合は、変形が進行する前に、まずは受診をして医師の判断を仰ぐ事をお勧めします。
参考文献
日本整形外科「O脚・X脚」