②椎間板ヘルニアとは?原因や診断、予防法について解説
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療は、
・手術を行わない治療(保存療法)
・手術を行う治療(観血的療法)
の2種類があります。
ヘルニアは、自己免疫機構のはたらきで自然に分解・吸収されます。
そのため、治療は基本的に手術を行わない治療(保存療法)を行います。
〈手術を行わない治療(保存療法)〉¹⁾⁹⁾¹⁰⁾¹¹⁾¹²⁾
手術以外の治療法は、主に以下のものになります。
・薬物療法
・ブロック注射
・装具療法
・リハビリ
ではそれぞれ解説をしていきます。
・薬物療法
痛みやしびれなどの症状に対し、各種薬剤が処方されます。
痛み止め(消炎鎮痛剤)は急性の疼痛に対して有効とされています。
筋弛緩薬は、痛みによって凝り固まってしまった筋肉の緩和や軽減を目的に使用します。
腰痛が長期化してしまって生じた不安症状やうつ症状、ストレスに対して精神薬も処方されます。
・ブロック注射
ブロック注射とは、局所麻酔薬やステロイド剤を神経の近くに注入することで、痛みを抑える治療法です。
硬膜外ブロックや神経根ブロックと呼ばれる治療が主に行われます。
・装具療法
軟性コルセットを処方します。
着用することで、背骨の運動制限や背骨の安定化を図ったり、背骨の姿勢を保持する効果があります。
・リハビリ
背骨や椎間板への負担を減らすために、生活上の動作の注意点や自主練習、対処法などの指導をリハビリで行います。
※なるべく完全な安静は避けること
椎間板ヘルニアのリハビリでは、
・物理療法
・運動療法
を行います。
<物理療法>
当院リハビリでは機械などを使用し、腰痛や下肢痛の緩和を行います。
・牽引療法
牽引機器を使用して椎間板の圧を緩和します。これによってリラックス効果や疼痛の緩和を行います。
・温熱療法
ホットパックと呼ばれる温めた道具を患部に当てることで、血流改善の促通、凝り固まった筋肉の改善、これによる疼痛の緩和を行います。
・電気刺激療法
ホットパック同様、患部に電気刺激を流すことで血流改善の促通、凝り固まった筋肉の改善、これによる疼痛の緩和を行います。
〈運動療法〉
生活上の動作の注意点や指導、自身で行えるトレーニングの指導を行います。
具体的には、痛みの少ない姿勢の指導、痛みを緩和する自分で行える体操や運動の指導を中心に行います。
障害により低下した筋力の強化や低下した体力の強化を目的とした筋力トレーニングや各種運動の実施・指導も行います。
痛みに合わせて日常生活の制限は必要になりますが、安静が続き筋力が低下すると、より姿勢の崩れにつながり病状が悪化することがあります。
また、なるべく早く通常の生活に戻ることが体力低下の予防や精神的ストレスの軽減につながるため、完全な安静は避けた方が良いでしょう。
〈椎間板ヘルニアの手術〉⁸⁾⁹⁾
手術の適応となるのは、医師の診察や相談になりますが主に以下の場合になります。
・重度の脱力感・感覚麻痺、膀胱直腸障害がある場合
・手術を行わない治療(保存療法)を2~3か月続けても効果がない場合
・職場や社会活動への早期復帰を望む場合
手術の種類については以下のように様々な方法があります。
1.LOVE法
2.内視鏡下ヘルニア摘出術(MED法)
3.顕微鏡下椎間板摘出術
4.経皮的内視鏡下椎間板切除術(PELD法)
5.経皮的髄核摘出術(PN法)
6.経費的レーザー椎間板除圧術(PLDD法)
7.脊柱固定術
(出典:里見和彦,宝亀登,河合大ら.腰椎椎間板ヘルニア治療の最前線,腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的レーザー椎間板除圧術.臨床整形外科.42,3,2007より引用)
手術方法は椎間板ヘルニアの具合や医師の判断になりますので、診察時に医師とご相談ください。