医療法人社団 弘人会中田病院

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Column症状別コラム

椎間板ヘルニアとは? 原因や診断、検査について解説

2024/01/20 15:54

椎間板ヘルニアとは?原因や診断、予防法について解説

”ヘルニア”や”椎間板ヘルニア”という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

ご家族やご友人など、周りにもこのような診断を受けた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、椎間板ヘルニアについて解説していきます。

椎間板ヘルニアとは?

〈椎間板とは〉

背骨は椎骨という骨が連なって形成されています。その椎骨と椎骨の間でクッションの役割を果たしているのが、“椎間板“です。

 

椎間板の中には“髄核”と呼ばれるゼリー状の組織があります。

椎間板が何らかの原因でひびが入り、飛び出した髄核が神経を圧迫してしまっている状態が椎間板ヘルニアとなります。

〈神経症状が出る事も〉

髄核が飛び出た状態をヘルニアと呼びますが、これが神経を圧迫することで神経に沿った部位に痛みやしびれが表れます。

 

〈頸椎と腰椎に好発する〉

椎間板ヘルニアは、首の部分(頸椎)、胸の部分(胸椎)、腰の部分(腰椎)のどこで発症しているかで、それぞれ痛みやしびれの箇所が変わってきます。
 

椎間板ヘルニアは、頚椎、腰椎で発症することが多いです。

これらはそれぞれ重たい頭部を支える役割、体幹を支える役割とともに、大きな可動域を必要とされるため、強い負荷がかかりヘルニアを呈しやすいです。

 

〈好発年齢は20~40代の男性〉
発症しやすいのは20~40歳代で、男女比は約2~3:1と男性に多いです。

椎間板ヘルニアの原因

次に椎間板ヘルニアの原因について解説していきます。

 

椎間板ヘルニアは、加齢による椎間板の柔軟性の低下や、運動による圧力、重量物の挙上などの外傷が原因で発症します。

その他、近年の研究では、

・喫煙による椎間板の変化⁴⁾

・ストレスやうつなどの心理的因子⁵⁾

・職場の環境や仕事の満足度などの社会的因子⁵⁾

これらが原因に関与するともされています。

椎間板ヘルニアの症状

次は椎間板ヘルニアの症状について解説していきます。

 

椎間板ヘルニアの症状は主に以下のものになります。

・痛み、しびれ

・力の入りにくさ、脱力感

・歩行障害

・膀胱直腸障害

 

ここからそれぞれの症状について解説していきます。

<痛み、しびれ>

椎間板ヘルニアは、神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こします。

神経はそれぞれ支配する筋肉、皮膚の感覚が決められています。

そのため、圧迫された神経によって痛みやしびれの部位が異なります。

 

<力の入りにくさ、脱力感>

先ほど話したように、筋肉もどの神経が支配しているか決まっています。

圧迫された神経の支配する筋肉が上手く動かなくなり、脱力感が生じるのです。

 

<歩行障害>

腰から下の神経には、足の筋肉や感覚を支配する神経が分布しています。

そのため、腰から下の椎間板ヘルニアになると、足の脱力やしびれから歩きにくさが現れます。

 

<膀胱直腸障害>

腰よりも下にある”馬尾神経(ばびしんけい)”とよばれる神経は、自律神経という身体の自動調節の役割があります。

ここが障害されると、痛みやしびれだけでなく膀胱や肛門周囲のはたらきが鈍くなり、

失禁や便失禁が現れます。

これらは”馬尾症状(ばびしょうじょう)”や”馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)”
と呼ばれ、手術適応とされることが多いです。

椎間板ヘルニアの検査

次に椎間板ヘルニアの検査方法について解説します。

椎間板ヘルニアの主な検査は以下になります。

・画像検査

・身体検査


ここからは画像検査と身体検査について解説していきます。

<画像検査>

・MRI

・レントゲン

・CT(造影剤を使用することも)

椎間板ヘルニアは、60歳未満の20%、60歳以上の36%に無症候性のヘルニア所見があるとされており、画像所見と症状が一致することが条件となります。

画像検査は、基本的にはMRIが主に用いられますが、MRIが使用できない方にはCT、造影CTを用いります。

またレントゲンは神経組織の撮影はできないため、骨の変形などの確認程度に用いります。


これらのテストは、それぞれ神経が支配する領域の皮膚髄節や筋肉髄節の状態を調べることで、どの神経が障害されているかを判定することができます。
 

<身体検査>

・下肢伸展挙上テスト(SLRテスト:Straight Leg Raising )
椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されているときにこのテストを行うと、神経の圧迫が更に強くなって、臀部から足先にかけて放散痛としびれが出ます。

・大腿神経伸長テスト(FNSテスト)
L2/3またはL3/4椎間板ヘルニアで特異的に陽性になる検査です。陽性の場合、太ももの前面にしびれや痛みが出ます。

・深部腱反射

腱・筋を叩打することにより、錐体路での障害か、もしくは反射弓での障害かを大まかに判別することができます。

評価結果 障害の部位 麻痺の種類 主な疾患
亢進 錐体路での障害 中枢神経麻痺 脳梗塞、脳出血、脊髄損傷等
消失 反射弓での障害 末梢神経麻痺 椎間板ヘルニア、ギランバレー症候群、脚気等


・筋力検査
神経は支配する筋肉が決まっています。そのため神経が障害を受けると、対応する筋肉の働きが弱くなります。
キーマッスルとされている筋肉の強さを調べる事で、対応する神経の障害部位を推察します。

・感覚検査
皮膚にもそれぞれ対応する神経支配の領域があります。感覚が弱くなっている場所を調べる事で、応する神経の障害部位を推察します。