医療法人社団 弘人会中田病院

tel

〒347-0065 埼玉県加須市元町6番8号

Column症状別コラム

X脚とは?原因や診断、予防法について解説

2024/07/02 15:22

X脚とは?原因や診断、予防法について解説

「昔から内またになりやすい」

「歩行や階段昇降で股関節や膝、足首が痛む」

このような経験をされた方はいませんか?

 

今回はX脚について解説していきます。

X脚の概要

X脚は、別名“外反膝”(がいはんひざ)とも言われ、脚の見た目が「X」の字のように、膝が内側に湾曲したような形になるようなことから、X脚と言われています。

壁に寄りかかり足を揃えた姿勢で真っすぐに立った時、

 

・ふくらはぎや内くるぶしが接しない

・かかとを揃えられない

 

このような場合は、X脚かもしれません。

 

X脚は、股関節や膝の痛み、外反母趾などの症状がある病的なものと、痛みや機能障害を伴わないものがあります。

脚の片側のみの変形では、病的なものを考えます。

X脚の症状

X脚の進行度合いによって、さまざまな症状が現れます。具体的な症状としては、以下のものがあります。

膝の痛み

X脚になると脛の骨(脛骨)が外側に捻られるような力が加わりやすくなり、そのままの状態で歩行や膝の曲げ伸ばしを続けることで、軟骨の摩耗や膝周囲の靭帯・筋肉の損傷が起き、次第に膝の痛みが生じます。

膝の不安定感

膝の変形により、内外側の筋肉を不均等に使いやすくなります。使わない筋肉は次第に弱ってしまうため、次第に膝を支えることが難しくなり、膝が不安定な状態になります。X脚が進行すると、階段昇降の時に、“膝の力が入りにくい”、“歩いていて膝がカクッと抜けてしまう”などの症状がみられます。

 

股関節や足首の痛み

X脚は膝だけでなく、膝に近い関節にも影響が出る場合もあります。

X脚による体重のかかり方の変化や筋力低下により、他の関節に負担がかかり、股関節や足首に痛みが生じることが考えられるのです。

 

X脚は進行することもあるため、症状がないX脚でも歩行や膝の曲げ伸ばしなどの繰り返しのストレスや加齢により、膝周囲の組織が変性・損傷して病的なものに変異することもあります。

 

X脚の原因

X脚になる原因として、姿勢の悪さや日頃の癖など、生活習慣が影響していることが多いです。代表的な例としては、以下の3つが挙げられます。

 

骨盤が前に倒れている

骨盤が前に倒れて反り腰になると、股関節が不安定になります。これを安定させようとするため、内また姿勢になりX脚に移行していきます。

 

内またの歩行が癖になっている

もともと、何からの原因で内またの歩行が癖になっている方もX脚になる傾向があります。内またの歩行になる原因もさまざまなものがありますが、骨盤や股関節の形状や、足の筋力低下などが考えられます。

 

お尻の筋力が弱い

お尻の筋力が弱い人も、X脚になる可能性があります。お尻の筋力が弱ってしまうと、桃の内側の筋肉を使いやすくなるため、内またでの動作になりやすくなります。

 

足の変形をそのままにしておくと起きること

脚の変形をそのままにしておくと、姿勢や筋力のバランスが悪くなり、変形性膝関節症、鵞足炎、足底腱膜炎、外反母趾などの症状が出ることがあります。

 

変形性膝関節症

X脚が進行すると変形膝関節症になることがあります。変形性膝関節症とは膝関節の軟骨摩耗により、歩行や階段昇降で膝に痛みが出ることを言います。末期まで進行してしまい、日常生活が困難になると人工膝関節の手術適応になります。
 

鵞足炎

鵞足炎は、膝の筋肉が集まって付いている「鵞足」と呼ばれる場所に痛みが出現する症状です。膝を起点に大腿骨と脛骨に捻るストレスが加わることで、筋肉が緩んで必要以上に力を入れてしまったり、引き延ばされて過度な張力が加わったりことで痛みにつながります。
詳細はこちら
 

足底腱膜炎

足底腱膜炎は、土踏まずが落ち込むように足のアーチが崩れて、足底腱膜の動きが悪くなると、本来の機能が発揮できず、足底が地面に接地する際の衝撃を吸収できなくなります。そこに歩行などの繰り返しの衝撃ストレスが加わることで、足底腱膜に小さな断裂が生じて炎症が起きます。痛みが生じます。

 

外反母趾

外反母趾は、足の親指が小指側に「く」の字に変形することで、親指の付け根部分に痛みが出現する症状です。親指の付け根が赤くはれている、靴に親指の付け根がよく当たる場合は外反母趾の疑いがあります。

 

X脚の予防方法

X脚の予防方法として、筋力トレーニングやストレッチがあります。

悪い姿勢や生活習慣がX脚を助長していることもあるので、日頃の姿勢や悪い生活習慣にも目を向けてみましょう。

 

筋力トレーニング

・ヒップリフト(動画2つ目)

ヒップリフトは大殿筋を集中的に狙って鍛えることができます。大殿筋はお尻にある大きな筋肉の事で、大殿筋を鍛えることで骨盤の過度な前傾を予防することにつながります。

 仰向けに寝転んで膝を90度に立て、つま先を上げます。

 体が一直線になるようにお尻を持ち上げます。

 10~15回を3セット以上行います。

 

・スクワット

スクワットは脚の筋肉をほぼすべて使う効率的なトレーニングです。トレーニングだけではなく、丁寧なフォームで行うことで足腰の使い方を学習することもできるので積極的に行いましょう。

 足を肩幅ほどに開いて、つま先をまっすぐにして立ちます。

 少し遠いところにおいた椅子に腰かけるようにしゃがみます。

 10~15回を3セット。

※膝が痛くなる方は、深く曲げずに痛みが出ないところから始めましょう。

 

・フロントランジ

フロントランジは大殿筋や太ももの筋肉を狙って行います。足を前後に開く姿勢で行う為、スクワットで腰が痛くなってしまう人や片足ずつ効率的に鍛えたい方にお勧めです。

 鍛えたい足を前にして、つま先をまっすぐに向けたまま前後に脚を開いた姿勢を取ります。

 前の脚の90度になるところまで、腰を落としていきます。

 10~15回を3セット

 

 

股関節外旋のストレッチ

X脚で内またを取りやすくなっている方は、脚の内側の筋肉が固くなりやすいです。

 

・カエルポーズストレッチ

うつぶせに寝た状態で平泳ぎのように片足ずつ横にスライドさせます。

 

姿勢を良くする

座るときに脚を組みやすい方は骨盤が後ろに倒れている時間が長くなり、股関節周囲の筋力低下につながります。座るときは足裏を床にしっかりつけて、骨盤を起こして左右均等に座骨に体重がのるように意識しましょう。

女性の方はハイヒールを履く機会があると思いますが、習慣的にハイヒールを履く方はつま先に体重が集中してしまい、足のアーチ機能が働きにくくなるため、足裏の筋力が落ちてしまう原因になります。そのため、足裏全体で体重を支えられるスニーカーなどの靴に変える事も、X脚の予防に有効です。

 

まとめ

すでに変形が起きていても症状が軽度であれば、変形の進行を予防する事も可能です。膝の見た目が「X」のようになっていたり、痛みが生じたりしている場合は変形が進行する前に、まずは受診をして医師の判断を仰ぐ事をお勧めします。

 

参考文献

日本整形外科学会