ランニング中のすねの痛みの原因は?シンスプリントの予防を解説
「ランニング中にすねが痛くなる」
「ランニングシューズのソールを薄くしてからすねに痛みが出てきた」
「運動部に入って走る量が増えてから、すねが痛くなってきた」
その症状、もしかしたらシンスプリントかもしれません。
スポーツをしている方(特に中・長距離を走る方やたくさんジャンプする方)は、聞き覚えのある症状ではないでしょうか。
今回は、シンスプリントについてお話しします。
ジョギングやマラソンをして今まさに痛みがある方だけでなく、これから運動を始めようと思っている方、お子様がスポーツをしている親御さんも、ぜひ参考にしていただければと思います。
シンスプリントとは
シンスプリントとは、ランニングやジャンプなど、負荷がかかる運動を繰り返すことで、すね(以下、下腿)の内側に痛みが生じる状態のことを言います。
日本語では、「脛骨過労性骨膜炎」とも呼ばれており、文献などに取り上げられています。
シンスプリントは、疲労骨折とは異なりレントゲンで変化が起こらず、一般的にありふれたスポーツ障害で軽症との認識がある1)と言われています。
また、シンスプリントは再発しやすく2)、症状の重症化1)や疲労骨折に繋がる3)ことから、シンスプリントは予防と改善が必要です。
シンスプリントの症状
シンスプリント症状は、以下の通りです。
・運動中(特に走る、ジャンプする動作)に、すねの内側が痛くなる
・すねの内側を押すと痛みがある
・休んでも、上記の痛みが改善しない
運動中だけでなく、運動後も痛みが増すことがあります。
どんな人がなりやすいのか(発生原因・身体的特徴)
シンスプリントは、どんな人がなりやすく、なりやすい人はどんな特徴があるか、以下にまとめてみました。
<どんな人が多いのか?>
・急激に練習量が増えた中高生(特に新入生)
・運動を再開した成人
・ソールの薄いシューズを履いているランナー
<身体的特徴>
・下腿の筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋など)の疲労による柔軟性低下
・足部に対するねじれのストレス(過回内)
・足部の機能低下(偏平足(内部リンク)やアーチ保持能力の低下)や疲労による、衝撃吸収の低下
・股関節や体幹などの筋力低下
・股関節や足関節の可動域低下
シンスプリントは、脛骨の内側に症状が出現しますが、痛みがある場所だけに原因があるわけではありません。
土台となる体幹や股関節の筋力低下や可動域の低下、扁平足などによって床から跳ね返ってくる衝撃(床反力)をうまく吸収できなくなることで、シンスプリントになることがあります。
シンスプリントの診断(分類など)
シンスプリントは、疲労骨折とは異なりレントゲンではわかりません。MRI画像で診断することが多いです。MRIだけでなく、症状による分類は以下の通りです。
<walsh分類>
StageⅠ:運動後にのみ疼痛あり
StageⅡ:運動中に疼痛あるが、スポーツ活動に支障なし
StageⅢ:運動中に疼痛あり、スポーツ活動に支障あり
StageⅣ:安静時にも慢性的な持続する疼痛あり
あくまでも分類であり、判断は医師が行います。症状がある場合は、整形外科の受診をおすすめします。
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シンスプリントの治療方法
シンスプリントの代表的な治療方法は、以下の通りです。
・練習量の調整(オーバーワークに注意する)
・アイシングやテーピングなどによる対症療法
・ストレッチや筋力強化などの理学療法(リハビリ)
・足底板(インソール) オリジナルインソールの作成
リハビリでは、再発予防のために股関節や体幹の筋力強化やフォームの修正は必須です。もちろん、患部のケアやストレッチ、筋力強化も行います。
シンスプリントは、再発することが多く疲労骨折にも繋がる恐れがあります。適切な処置やリハビリなどを行い再発予防が重要です。
スポーツ復帰のタイミング
スポーツ復帰は、一般型と重症型によって復帰時期が異なります。
シンスプリントの重症度分類(八木)をご紹介します。
|
一般型 |
重症型 |
復帰期間 |
平均2週間 |
平均2〜3ヶ月 |
圧痛 |
脛骨内側縁に沿った縦5cm以上 |
脛骨前縁〜内側の縦5cm以上 |
片脚ジャンプ |
踏切時に痛み |
着地・踏切どちらも痛み |
MRI |
筋・骨膜の高信号 |
骨髄の高信号 |
関節可動域 |
股関節内旋が大きい |
股関節・足関節の可動域が小さい |
足部回内 |
舟状骨低下を認める |
ほとんどなし |
メカニズム |
筋・腱障害 |
骨リモデリング障害※ |
治療 |
保存(休止しなくてもよい) |
保存(休止が必要) |
※骨リモデリング:骨は自ら骨を壊して再構築することを繰り返し、常に新陳代謝を繰り返しています。このことを、リモデリングと言います。
まとめ
シンスプリントは、よくあるスポーツ障害です。しかし、早い段階で対処しなければ再発を繰り返し、疲労骨折につながります。
特に、学生スポーツのような限られた時間をケガで無駄にしないように異変を感じたら勇気を出して休むことも大切です。
痛みに苦しんでいる方は、まずはお近くの整形外科を受診してみてください。
参考文献
- 内山英司(2006)成長期下腿骨疲労骨折,シンスプリントの診断と治療.骨・関節・靭帯;19(4),327- 333
- Hubbard, T.J., Carpenter, E. M. , Cordova, M.L. (2009) Contributing factors to medial tibial stress syndrome: a prospective investigation. Med Sci Sports Exerc; 41, 490-496
- Clement, D. B. :Tibial stress syndrome in athletes, J .Sports Med .(1974), 2,(1) 81-85