医療法人社団 弘人会中田病院

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Column症状別コラム

坐骨神経痛と梨状筋症候群

2023/07/10 17:23

坐骨神経痛と梨状筋症候群

坐骨神経痛と梨状筋症候群は、神経と筋肉に関連する痛みを引き起こす状態であり、しばしば混同されることがありますが、それぞれ異なる疾患です。

坐骨神経痛


坐骨神経痛は、坐骨神経が圧迫されることによって引き起こされる痛みの状態です。坐骨神経は、腰椎から臀部を通り、脚の裏側にある膝と足首に至る大きな神経です。腰椎ヘルニアや脊椎の変形、脊柱管狭窄症、腰椎の捻挫などが原因で坐骨神経が圧迫されることがあります。この圧迫により、脚の裏側や足に痛みやしびれが生じることが特徴的です。

症状

  • 腰から臀部、太ももの後ろ、ふくらはぎ、足先にかけての痛み:坐骨神経が圧迫されることで、神経の経路に沿って鋭い痛みが走ることが特徴的です。片側の脚に痛みが生じることが一般的です。
  • 臀部、脚にしびれ:坐骨神経の圧迫により、神経が正常に機能しなくなるため、感覚の異常が生じます。
  • 筋力低下:坐骨神経の圧迫が進行すると、関連する筋肉の力が弱まることがあります。
  • 排尿や排便の障害:重度の坐骨神経痛では、尿意や便意を感じにくくなる場合があります。

治療方法

  • 軽度の坐骨神経痛では、安静にして背中を休めることが効果的な場合があります。また温湿布を使った湿布療法も痛みの軽減に役立ちます。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):炎症を抑える効果があるNSAIDsの薬物が処方されることがあります。ただし、副作用に注意しながら使用する必要があるため、医師の判断が必要となります。
  • リハビリ:理学療法士によるエクササイズやストレッチング、電気刺激療法などが行われることがあります。
  • 神経根ブロック注射:坐骨神経の圧迫が原因の場合、痛みを和らげるために局所麻酔を使って坐骨神経に注射を行うことがあります。
  • 外科手術:腰椎ヘルニアなどが原因で重度の坐骨神経痛がある場合には、外科的な治療が必要なことがあります。

梨状筋症候群

梨状筋は、臀部の深部にある小さな筋肉で、坐骨神経に非常に近い位置にあります。梨状筋症候群は、この筋肉が異常に収縮し、坐骨神経を圧迫することによって引き起こされる痛みの状態です。この症候群は、長時間の座位や足の運動不足、スポーツの過剰な活動などが原因となることがあります。症状は坐骨神経痛に似ており、腰から臀部、脚の裏側にかけて痛みやしびれが生じることがあります。

症状

  • 臀部から脚の裏側にかけての痛み:梨状筋が収縮し、坐骨神経を圧迫することにより、臀部から脚の裏側にかけて痛みが生じます。坐骨神経痛に似た痛みがあるため、これらの2つの疾患の区別が難しいことがあります。
  • 坐骨神経痛とは異なる痛みのパターン:梨状筋症候群は、坐骨神経痛とは異なる痛みのパターンを示すことがあります。特に腰から下にかけての範囲で痛みが生じることが多いです。

治療方法

  • 軽度の梨状筋症候群では、安静にして臀部を休めることが効果的な場合があります。特に激しい運動や長時間の座位を避けることが重要です。
  • リハビリ:梨状筋のストレッチングを行うことで改善効果が期待できます。
  • マッサージ療法:筋肉の緊張をほぐすためにマッサージが行われることがあります。
  • 筋弛緩薬:梨状筋の痙攣を和らげるために筋弛緩薬が処方されることがあります。
  • 抗炎症薬:炎症を抑える薬物が痛みの軽減に役立つ場合があります。

注意が必要なこと

坐骨神経痛と梨状筋症候群は、症状が類似しているため、専門医の診断が必要です。自己診断を行わず、症状がある場合は早めに医師に相談することが重要です。適切な治療が行われることで、症状の改善が期待されます。